株式会社量子技研工業
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■ 高効率DMCP-ICCD検出器 ■

ICCD検出器
[ ICCD検出器 ]
 従来のSMCP(1枚マイクロチャンネルプレート)と比較して、検出効率の高いイメージインテンシファイア付きCCD検出器です。
 従来の製品は1枚MCPの為、信号増幅率を高くしても、MCP内部の信号増幅ばらつきにより、一部の信号しか高い増幅率を得る事が出来ませんでした。増幅率の低い信号が多く、信号全体としてみると、検出率が低くなっていました。

 2枚MCPに変更すると、下図のパルスハイト分布の様に、検出効率が改善します。
パルスハイト分布

ノイズに埋もれて信号形成に寄与しにくい部分が、この部分に押し上げられ、検出効率を改善します。

実際に信号を取って比較した所、この例では2.6倍の信号比を得ています。ノイズの影響を考えると、信号が暗いほど検出効率の差が顕著に出ると考えています。

[ IC内部のSiのラマン信号スペクトル ]
ラマン信号スペクトル
10mW532レーザー励起、ラマンノッチ使用520cmのピーク信号
 2枚MCPを用いると、増幅率にサチレーションを起こさせる為、MCP内部の信号増幅ばらつきを押さえる事が出来ます。ただ、そのまま信号を出力するとCCD検出器にとっては信号が大きすぎて、計測のダイナミックレンジを失っていました。

 この問題を、MCPにかける電圧と、フォスファ(蛍光面)にかける電圧を独立して制御する事により解決しています。(特許申請中)



 本検出器は上記独立制御により、以下の3つの動作モードを持っています。
  1. 高効率DMCP-ICCD検出器
     100カウント/pe程度の高ゲインで、信号を蓄積して取り込むモード。通常のICCD検出器では検出時間のかかる実験を、短い時間で行います。
  2. フォトンカウンティング用DMCP-ICCD検出器
     1,000カウント/pe程度の高ゲインで、数フォトン/1秒のフォトンカウント検出レベルの信号検出向き。出力は2値化してフォトン数を数えます。
  3. 通常のSMCP-ICCD検出器
     100カウント/pe以下程度の高ゲインで、比較的明るい信号を、S/N良く取り込むモード。
 これらのモードを実験条件に合わせて使い分ける事で、従来にはない幅広い用途での使用が可能です。
CCD素子は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレー)を使用して制御しており、制御論理の変更が簡単に可能で、特殊なCCD素子読み出しや、外部同期パルスのカウント動作等が、柔軟に作成可能です。


■機器仕様

1)イメージインテンシファイア

 現在DEPと浜松さんのインテンシファイアに対応しています。レンズカップル対応品はイメージインテンシファイアの出力窓をガラスにし、チキンワイヤ(ファイバー構造の透過率の違いから来る感度むら)を除いた高感度な画像を可能にしています。
 レンズカップル対応品は、イメージインテンシファイアを取り外しできますので、通常の冷却CCD検出器としての使用も可能です。

ゲート時間4nS〜DC
ゲート制御DG-535等のパルサーにより行う。TTL入力。
大きさ18mm(25mmはオプションです。)
ルミナスゲイン300,000cd/m2/lx以上
フォトカソードタイプS-20,S25,スーパーS25,CsTeGen IVの高QEも対応可能です。
フォスファータイプP20,P43
CCD検出器へのカップリング1対1F1.4または2.7リレーレンズ 
(ファイバーカップルは開発中です。)
分解能22lp
27lp(オプション。)
その他リレーレンズ時はイメージインテンシファイアの出力窓がガラス出力となり、イメージの質と分解能を改善しています。オプションで浜松さんのインテンシファイアにも対応します。


スーパーS25のホトカソードの量子効率
※他のタイプについてはお問い合わせ下さい。
 
約2nSのオプティカルFWHM
上右図は、780nmのLDを緩和発振により約120pSで発光させ、35cm可視分光器(200gr/mm)、簡易顕微光学系を用い、0.2nS毎に取り込んだ物です。FWHMで約2nSのゲートが開く様子が見えています。

2)CCD検出器

 1MHZ以下の高精細読み出しと、現状5MHZですが、10MHZ以上の高速読み出しに対応予定です。取り込み速度を上げる為に2つの読み出しポートからの信号を同時に取り込む事についても対応予定です。
 10MHZの速度で画像を取り込む場合、フォトンカウント処理がリアルタイムに行われる必要があります。制御用のPCIカードに十分な制御論理を確保していますので、一般的なフォトンカウント処理に加え、各種フィルター処理もリアルタイム処理に対応可能です。
 ファイバーカップリングは現在開発中です。レンズカップルと比較してコンパクトなボディで実現予定です。

CCDCCD30-11CCD62-06CCD47-20
ピクセル数1024*256578*3951024*1024
ピクセルサイズ26*26μm22*22μm13*13μm
検出面積26.6*6.6mm12.7*8.7mm13.3*13.3mm
リードアウトノイズ4〜6e4〜7e2〜4e
(チップ)   
リードアウトノイズ6〜8e6〜9e3〜5e
(システム)@42KHZ
量子井戸300ke300ke100ke
読み出し速度1MHZ以下10MHZ以下5MHZ以下
チップタイプFFTFFTFT
冷却温度LN-120℃ 真空封じ切り対応
 TEガス封止 -25℃
 真空封じ切り-70℃以下を目標に開発しています。
チップフロントタイプとオプションでバックタイプに対応します。
QECCD検出器のページを参照下さい。
ADC/ダイナミックレンジ低速カメラ 82KHz 16bit 又は1MHz 16bit 高速カメラ5MHz 14bit 又は10MHz 14bit
素子欠陥Grade1
暗電流CCD検出器のページを参照下さい。


 CCD30-11,CCD62-06はFFT(フルフレームトランスファ)です。画像の読み出し時はインテンシファイアを通常OFFして画像を読み出します。
 CCD47-20はFT(フレームトランスファ)です。画像の読み出しはCCD素子上のメモリーエリアにイメージを転送してから行いますので、インテンシファイアをOFFせずに連続して画像の読み出しが可能です。

3)型名 一覧

DMCP-ICCD検出器
DMCP-ICCD1024RS電子冷却式CCD30-11対応レンズカップル
DMCP-ICCD1024FS電子冷却式CCD30-11対応ファイバーカップル
DMCP-ICCD578RH電子冷却式CCD62-06対応レンズカップル
DMCP-ICCD578FH電子冷却式CCD62-06対応ファイバーカップル
DMCP-ICCD1024FTRH電子冷却式CCD47-20対応レンズカップル
DMCP-ICCD1024FTFH電子冷却式CCD47-20対応ファイバーカップル
  • 末尾のHは高速カメラ、Sは低速カメラの対応です。
  • 標準で18mmイメージインテンシファイア、スーパーS25光電面です。
DMCPイメージインテンシファイア部
 DMCP-II-R:レンズカップル式イメージインテンシファイア部
 標準で18mmイメージインテンシファイア、スーパーS25光電面です。
 DMCP-II-Rを用いて既存のCCD検出器への取り付け対応も可能です。お問い合わせ下さい。

4)サンプルデータ

 365nm発光のLEDを3nS発光させ励起用光源として使用し、蛍光塗料の蛍光を時間分解分光計測しました。
 35cm可視分光器(200gr/mm)、簡易顕微光学系を用い、0.5nS毎に取り込んだ物です。2nS遅れて立ち上がる蛍光が見えています。横軸が波長、縦軸が時間です。